speedrun.comが規約を更新し、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが削除されたことついて続報が出たので記事にしました。
該当のポスト
We’ve updated our Terms of Use again, based on your feedback. Your Runs are yours, and Leaderboard Data is now open to everyone, for any purpose.
What changed and why, plus answers to common questions: https://t.co/zskDtOVipv
— Speedrun.com (@speedruncom) October 21, 2026
日本語訳:
皆様からいただいたフィードバックに基づき、利用規約を再度更新しました。ご自身の「記録」はあくまでご自身のものです。また、リーダーボードのデータは、どなたでも、どのような目的であっても利用できるよう公開されました。
変更内容とその理由、およびよくある質問への回答は以下の通りです。
New Terms of Use: Leaderboard Data Is Open to Everyone – News – Speedrun.com

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは復活しませんでしたが
代わりにリーダーボードのデータは誰でも利用できるようになりました
speedrun.comが利用規約を釈明!独自ライセンス導入の理由とは
世界最大の記録集積サイトである“speedrun.com”において、以前お伝えしたクリエイティブ・コモンズ・ライセンス削除の騒動に進展がありました。なぜなら、コミュニティからの激しい反発を受け、運営元であるElo社が規約の意図を説明する釈明声明を公開したからです。
まず、運営側は「なぜ従来のクリエイティブ・コモンズに戻さないのか」という疑問に対して回答しました。具体的には、外部による商用利用を認めつつ、生成AIの学習モデルへの利用を完全に排除できる都合の良いライセンスが既存の枠組みに存在しなかったと主張しています。
過去に適用されていた“CC BY-NC”は、そもそも商用利用そのものを全面的に禁止する規約でした。一方で、商用利用を許可する形式のライセンスを採用すると、規約の性質上、AIによる機械学習まで自動的に容認されてしまいます。
そこで運営側は、リーダーボードデータ専用の独自ライセンスを新たに策定しました。したがって、第三者による商用利用を広く開放しつつ、AI学習のみを明確に禁じる妥協案を着地点として提示した形となります。
規約緩和でも消えない疑念!コミュニティが冷ややかに見つめる理由
一見するとコミュニティ側の要望に配慮した修正に見えます。しかしながら、海外掲示板のRedditなどでは依然として冷ややかな反応が大半を占めています。
第一の疑問点として、AI学習の禁止という名目が後付けの言い訳に過ぎないのではないかという指摘が挙げられます。なぜなら、規約で学習を禁止したところで、大手AI開発企業による無断スクレイピングを法的に差し止める実効性は極めて乏しいからです。
第二に、APIの提供方針に関する不透明さが挙げられます。具体的には、サイト側の判断によっていつでもAPIの仕様変更や提供停止、特定ユーザーのアクセス遮断が可能である旨が明記されました。
そのため、競合サービスや外部ツールを恣意的に排除するための口実として悪用されるのではないかという懸念が払拭されていません。要するに、プラットフォーム側が絶対的な生殺与奪の権を握り続けている点に変わりはありません。
新たな火種となった“GDPR違反”疑惑!記録保持条項への法的批判
さらに、今回の発表では規約の別部分に関して新たな法的問題が噴出しました。具体的には、処分を受けたユーザーの記録保持に関する条項がEU一般データ保護規則、いわゆる“GDPR”に抵触する恐れが生じています。
運営側の告知によれば、アカウント停止や調査中のユーザーが処分逃れのために退会することを防ぐ目的で、該当者のアカウントおよび申請された走行記録を永久に保持できると定められました。一般的なユーザーはいつでも退会可能であるものの、不正が疑われた走者のデータは削除されない仕組みです。
しかし、この方針はGDPRが厳格に保障する“忘れられる権利”を侵害しているとの批判が法律に詳しいユーザーから相次ぎました。確かに再登録防止を目的とした最小限の個人情報の保持は認められる余地があるものの、走行動画やタイムといった記録データまで強制的に残す正当な理由にはなり得ません。
加えて、規約上において「アカウントやデータが削除された後もサイト側の利用ライセンスは存続する」と規定されています。ところが、民間企業が定めた私的な利用規約によって公的なGDPRの権利行使を無力化することは法的に不可能です。
その結果、多額の資金を持つ企業でありながら初歩的な法務リスクを放置している姿勢に対し、コミュニティの呆れと怒りは一段と加速しています。
まとめ:信頼回復には程遠い現状とこれからのRTAシーン
総括すると、今回の釈明によって商用利用の制限といった極端な囲い込み条項は一定のトーンダウンを見せました。けれども、一度失われてしまった運営企業への信頼を取り戻すには至っていません。
むしろ、場当たり的な規約修正を繰り返す過程で法的な綻びが次々と露呈し、運営体制への根本的な不信感は深まる一方です。だからこそ、特定の民間企業に依存しない独立したリーダーボードや、有志によるオープンな統計サイトへの移行を後押しする機運は今後も弱まらないでしょう。

